Youtube中田大学 5Gで世界は変わるのまとめ

このYuotubeから得るもの

5Gとは何かを知り、これから起こる世界の変化のイメージがわかる。



目次
 1 著者
 2 5Gの「G」って何??
 3 5Gでどうなるの??
 4 未来に波がくるとされるジャンル
 5 5Gのリスク
 6 さらなる6Gへ…
 7 感想

1 著者

亀井卓也 「5Gビジネス」

2 5Gの「G」って何??

5G=5Generation(ジェネレーション)
(第5世代移動通信システム)

G(ジェネレーション)の歴史

1G = 携帯電話
2G = メール
3G = iモード・ezweb(情報のプラットフォームが見れる)
4G = 動画・スマホゲーム
5G = 大容量通信・低遅延・多数同時接続

3 5Gでどうなるの??

5Gを想像てきているか否かで、次の時代をどう生きるかが変わる。
スマホ(4G)がくるとわかっていた人は、巨万の富を得ている。

5Gの特徴

1 大容量通信
  2時間の映画を3秒でダウンロード

2 超信頼・低遅延
  人間には感知できない誤差になる。

3 多数同時接続
  災害時、イベント時にも遅延無

5Gで変わるビジネスモデル

・B2C(Business to Customer:企業と消費者の取引)と
 B2B(Business to Business:企業間取引) が
  → 「B2B2X」になる
    (IoTで、あらゆるサービスはインターネットに接続された状態でのビジネスを意識せざるを得ない)

B2B2Xの例

1 「マイクロソフト」・「Adobe」は、SaaS{Software as a Service}を実施
  過去 = インストール用CDドライバを購入してもらう。
  未来 = クラウド上にソフトを格納して、使う分を定額料金で使ってもらう。

2 「トヨタ」はMaaS{Mobility as a Service}を実施
  過去 = 車を売る
  未来 = 自動運転 → 車売れない(しかし車は必要) → 自動車を使うサービスを売る時代(例:町の車を呼ぶ、他の輸送につなぐ、定額にする)。


これからのサービスは、インターネットを通したものになる。

4 未来に波がくるとされるジャンル

1 動画
  Yuotuber月末稼げない = ギガ制限
   → ギガ制限無くなる
  
  画質制限無くなる。
  使える端末:サムスン「ギャラシーフォールド」 
  
  つまり、「動画を超高画質で長時間観たくなる」 
  

2 VR/AR
  ライブ・スポーツの見方が変わる。
  
  マルチアングルで生中継 = 自分の見たい角度から見れる


3 ゲーム
  Google「STADIA」、買うのはコントロールだけ。


4 自動運転
  カー → コネクティッドカー
  コネクティッド救急車 → 自動で道を開けさせ、中でロボが自動手術
  byton → インターネットに繋がったスマホみたいなものに人が乗れるようにした。(中国の企業)
  
  自動運転レベル
  0 手動
  1 アクセル or ブレーキが自動
  2 アクセル and ブレーキが自動
  3 ほぼ自動。イレギュラーは手動
  4 一定のエリアは、全自動    → 2020年代完成予定
  5 その国では、全自動      → 2030年代完成予定


5 医療
  遠隔で、診断・手術ができる。
  手術の手振れ補正。


6 商品購入
  Amazon go → 支払いせずに出る。(タッチレスゲート)
  

7 スマホが消える
  個人がデバイスを持たない → スマートシティー

5 5Gのリスク

1 個人情報保護

 2 スコアリング
   誤った情報で、事故・犯罪・差別が加速する

 3 地域格差
   5Gは徐々にしか増えない。都市、地方で格差が出る。

6 さらなる6Gへ…

5GではIoT社会が過密状態になる。そのための6Gが必要になる。
つまり、5Gは現実で、6Gが未来の話である。

7 感想

5Gの「G」をギガと勘違いしていた私にもわかりやすい内容でした。
これから起こる変化がイメージできました。
時代を読みつつ、波乗りして楽しく生きたいものです。
インターネットの知識は必須というか、基本になりますね。日々勉強です。

Yuotube中田大学 科学的な適職のまとめ

このYuotubeから得るもの

仕事の選び方を「好きなこと」「年収」ではなく、自分の幸福度が最大化する方法で選ぶことができる。
キャリア選択という答えのない悩みに正解を出せる。


目次
 1 著者
 2 適職について
 3 間違った仕事の選び方
 4 仕事は「7つの徳目」で選べ
 5 マトリックス分析をしよう
 6 感想

1 著者

鈴木 祐

2 適職について

この本での適職とは「あなたの幸福度が最大化される仕事」
適職を選ぶのが難しい理由は、「職業選択の自由がはじまったのは19世紀ヨーロッパから」つまり職業選択の自由は歴史が浅い。
職業を自由に選べるというのはぜいたくな悩みだが、その答えがみつからないことの弊害も大きい。

年配の方へアンケート

あなたの後悔していることは何ですか?
この仕事ではなかったかも…など仕事の後悔が多い。

適職の重要性

1 終身雇用の崩壊
2 人生100年時代
  年齢に応じて、複数の経験をするのがマスト
3 ロールモデルのない時代
  変化のスピードが速い、afterコロナ、withコロナ、前例なし、教科書なし


こんな状況で、直感で仕事を選んではいけない。
科学的アプローチで幻想を捨てよう。

3 間違った仕事の選び方(幻想、幸福になれない)

好きを仕事に

人の心をつかむが…過去の偉人は好きを仕事にしてない。

適合派(好きを仕事に)
 長続きしない
 期待してしまう(こんなふうに思っていなかった)
 トラブルに弱い

成長派(与えられた仕事に取組む)
 トラブルに強い(これが大事)
 努力をしたから情熱的になれる。注いだリソースが情熱を生む。グロースパッション(心理学用語)


適合派と成長派では、適合派の方が仕事をやり切れる

お金で選ぶ

給料と満足度の相関関係=0.5(そんなに強い関係はない)
年収400~500万からの幸福度アップは難しい。
年収800万を超えるとそれ以上は変わらない。

伸びる業界

誰にもわからない。専門家と素人も正解率は変わらない。
予想外が起き続けるのが世界。
つまり、伸びる業界にいれば幸福ということにはならない。

楽かどうか

適度なストレスが幸福に不可欠。
自分にできてちょうど難しい仕事がよい。

4 仕事は「7つの徳目」で選べ

1 裁量権はあるか
  作業内容、場所やタイミングは自分で決めれるか。

2 進歩している感覚はあるか(達成感)
  毎日ずっと同じことをやる=苦痛
  前にに進んでいる感じがあると人は前に進める。
  やった後にフィードバックは来るか(いいね)

3 攻撃型or防御型タイプはあっているか(焦点)
  モチベーションのあげ方
   攻撃型:スピード重視、最高の状態を想定
      例:コンサルタント、アーティスト、クリエイター、テクノロジー

   防御型:安定感、最悪を避ける、ミスをしない
     例:経理、弁護士、データアナリスト
   

4 内容と報酬は明確か
  何を達成すればどれぐらい報酬がもらえるか。
  アマゾンはそうしている。

5 業務内容がバラエティーに富んでいるか
  効率化が進んだが…雇用されているいる人の満足度は下がる。
  全体に携わった方が満足度が高い。
  一時的に生産性は下がるが、長期的に離職率が下がる。

6 自分と似た人が多いか
  友達がが職場に3人以上いる人は人生の満足度が96%違う。
  給料の満足度も。
  自分と似てる人がいると友達ができやすい。

7 他人の生活に影響を与えているか
  誰の役に立っているのかわからない仕事はつらい
  自尊心、親密度、自立性を仕事が埋めてくれるように人間はできている(自分に価値がある)。
 

5 マトリックス分析をしよう

前述した1~7の項目でマトリックス分析をする。そのもっとも点数の高いものを自分の仕事にしよう。
この方法は、米軍の意志決定でも採用されている。
得点=重み(1~3) × 基準数(0~5)
f:id:bimori466:20200424111510p:plain
上の図の場合、選択すべき会社はA社となる。

6 感想

私も今の仕事をどうやって選んだかといえば、「親が公務員になってほしかった」が答えになる。
しかし、10年働いてみて「違うな」という気持ちが膨れ上がている。実際のマトリックス分析でも、23/80点というポイントだった。
人生100年生きるとしたら、もっと多様な経験が必要になる。
その中で、活用できる考え方になるだろう。

ブログのアクセス数について

ブログアクセス数がほんのり付き始めた

ブログを始めて2年、最初はまったくアクセスが付かなかったが最近少しづつ付くようになってきた。
はじめは書くことも思いつかず、雑記を書いていました。しかしあまりにも読まれないので試行錯誤。というより、はてなブログにはどういう機能があるのかを調べました。すると、記事をフォルダ毎に分けれたり、編集にははてな記法というものがある、写真や動画が埋め込めたりできるというのがわかり、それらを取り入れて記事を作るようにしました。
とはいえ、一番影響があると思ったのがSNSとの連携です。私はエクセルVBAが好きなので、その記事を書いてTwitterで宣伝したら、Twitterのエクセルに興味のある方がアクセスしたくれます。エクセルブログを別に作ったのですが、最初の雑記とはアクセス数の上り方が違いますね。流入経路はほぼTwitterで、SEOうんぬんはまったく効果なしですが。
まぁ、書いてる中身が、「エクセルでこういうことできます!」と言うものなので、人目に触れる機会があるのが大事だと思っています。
毎日100アクセスを目指していますが、道のりはまだ遠い。とりあえず100記事作らねば。

若者の公務員離れについて

若者の公務員離れの理由

President onlineより

1つめの理由は「イエスマン化」です。2014年に内閣人事局が設置されて、キャリア官僚の頂点にあたる300人ほどの高級官僚の人事権を官邸が握ることになりました。それを境に5年間で官僚の弱体化が目を覆うほどの酷さで広がりました。骨のある官僚が左遷されて、政治家にとって使いやすい官僚が重用された結果です。

 1点目は、政治家が使いやすい官僚を使うことで何が起こるか。結論は、現場にトンチンカンな指示が出てしまうことです。体感的にですが、最近のウイルス騒動のような大規模な話だけではなく、通常業務レベルでの問題に対しても現場無視のお達しを出しているなと思います。上の方針はこうだから、あとは下で何とかしといて責任は取らないけど。こういった具合です。そんな組織の上司にだれがついていくのか。

 

2つめの理由は、「残業の多さ」です。特にキャリア官僚はサービス残業が常態化していると指摘されています。

国家公務員の場合はさらにひどく、残業時間は全体平均で235時間、そのうち本府省では366時間と霞が関の残業量が突出しています。民間では36協定を超える違法であり、過労死ラインの目安とされる720時間を超えて勤務する国家公務員が全体の8%もいます。でも、それが社会問題になる気配すらない。いまや公務員のほうが激務なのです(出所:公務員白書)。 

さらに公務員の中では教員もサービス残業の多さで不人気になっている典型職種です。教員に限らず公務員の場合、その給料の全体額は予算で上限が決まっています。そのため、実態としてはタイムカードを設置せずに「正確な勤務時間が把握できない」という理由で残業代を払わない手口が横行しているのです。

 

2点目は、働き方改革を無視した働き方を中央政府がやってしまっていることです。残業代はたくさん出ますが、その対価となる時間、健康を奪われてしまっています。上司の意味不明な指示された仕事をたくさんこなす、想像しただけで病んでしまいそうです。教員のタイムカードを使わないって、昭和時代のいじめです。

 

3つめの理由は「公務員の安定神話の崩壊」です。公務員はクビにならない、国や自治体は決して破綻しない、というのは今や事実ではありません。実際には政府や自治体側のコストを理由に公務員がクビになる流れが完成しつつあります。そのきっかけは民営化です。

さらに公務員には水道、清掃、交通といった「現業」と呼ばれる業務がたくさんあります。こうした業務は主に地方自治体が担ってきましたが、コスト負担が重いことからたびたび民営化が取り沙汰されています。「公務員は安泰」という時代は終わりかけているのです。

このような3つの理由を通じて、「仕事が少なくて」「給料がそこそこ出て」「地位が安定している」という地方公務員のメリットも、「権限が強く」「国を背負って仕事をする責任が与えられる」というキャリア官僚のメリットも失われつつあります。それが若者の公務員離れを生んでいるのです。

 

 

3点目は、公務員は安定という時代は終了したことです。昔イメージされていた「仕事が少なくて」「給料がそこそこ出て」「地位が安定している」というのは幻想になりました。民営化だけではなく、分限免職で辞めさせることもできます。

現状の公務員は、「仕事多い」「給料そこそこ」「自分のスキルが身につかない」この3つの理由で人気がないのかと思います。

加えて、飲み会やイベントなど過去の行事に重きをおく慣習も人気のなさにつながっていると感じます。

 

私の意見は、本業+副業この働き方が、精神衛生上はいいと思います。

個人の時代ですかね。

 

ブラック企業の見分け方

特徴


1 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
2 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど

  企業全体のコンプライアンス意識が低い
3 このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う


ブラック企業になりやすい業界


 ①:労働集約型の業界
   飲食業や宿泊業、流通業など労働集約型のビジネス
   (多くの労働力が必要とされるため一人あたりの労働生産力が低く、長時間労働

    になりがち)

 ②:人気で華やかな業界
   大手の広告、旅行、出版、ITやPR職、ウエディングプランナー
   (求人に困らないのをいいことに人材を使い潰す傾向もあります。)


ホワイト企業になりやすい業界


 インフラ系など既得権益のある成熟産業・規制産業
 (ホワイト企業と言われている福音館書店医学書院も、それぞれ『ぐりとぐら』シ

  リーズや医学生の使う書籍などで、毎年安定したシェアがあるのが特徴です。)
 (無理に頑張らなくてもビジネスが成立するので、長時間労働の必要がありませ

  ん。)

 


入ってはいけないブラック企業の見分け方   (求人情報編)

① 給与が低すぎる・高すぎる
 給料が安すぎるのは、法律で定められた最低賃金を下回る「違法労働」の可能性があるので要注意
  一方で「月収100万円」など、給料が高すぎる求人にも気をつけてください。
  (不自然に高い金額は、厳しいノルマを達成した場合の特殊な例を掲載しているかも

  しれない)

② 給与表記が「みなし残業」や「年俸制
  基本給の金額や残業代の明記がない場合は、「みなし残業制」の悪用や残業代不払いなど違法労働の温床になりやすい
 
  1 基本給金額が不明()表示金額には30時間のみなし残業を含むなど
  2 勤務時間が不明
  3 リアルな労働条件が分からない。

③ 抽象的な言葉や見慣れない横文字ばかり
  「アットホームな社風!」「若手が活躍!」「やりがいある仕事!」といった抽象的な言葉を多用している会社は、それ以外にアピールできる実績や長所がない場合がほとんどなので気を付けましょう。
  横文字ばかりで何をしているのかよくわからないなど、曖昧な点が多い場合も要注意

 避けられがちな業務をうまく言い換えていることが多いからです。業務内容について詳しい説明がない場合は、自分から確認しましょう。

④ 採用数が不自然に多い
  事業が成長していて一時的に採用を強化しているなら問題ありませんが、不自然に採用人数が多い場合は気をつけましょう。
 
  例1 社員数に対する募集人数の割合が約3割を上回っている
  例2 採用条件がゆるすぎる
  例3 常に大量募集をかけている


ブラック企業の見分け方


 ① ライバル企業の社員、志望企業の退職者に体験談を聞く
 ②「ブラック企業リスト」「ブラック企業マップ」をチェックする
  「ブラック企業リスト」というのは通称で、正式名称は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」といいます。
  長時間労働や賃金不払いなど、労働関係法令に違反した疑いで「送検(事件の書類などを検察官へ送る)」された企業が一覧で分かるもので、厚生労働省の公式発表です。
  実はこういった違反事件は頻繁に起きてるんですが、普通はよほど大きな会社でないとニュースになりません。なのでそれをマッピングした「ブラック企業マップ」も含めて有用な情報を得られるリストです。
  また、「志望企業名 裁判」「志望企業名 事件」などで調べると、同様の情報が得られるので心配な人は検索するといいでしょう。

 ホワイト企業の見つけ方

 ホワイト企業アワード
   こちらは一般財団法人日本次世代企業普及機構が審査し、公表しているものです。
   法令遵守、働き方の柔軟性、生産性、ダイバーシティなどかなり厳しい審査基準が

   設けられており、認定されるのは応募企業の5~10%という狭き門です。
   更新の際に審査に落ちることもあるので、掲載されているのは本当に一部の優良ホワイト企業だけなんです。

 ② くるみん、プラチナくるみん認定企業
   こちらは「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた企業がまと

   まっています。
   長時間労働の削減や有休取得促進、男性の育休取得推進など、仕事と家庭の両立を

   サポートする制度の整った企業がわかるので、家庭も大事にしたい人はチェックす

   るといいでしょう。

 

 

近未来予測2025を読んでのまとめ感想 第3章 未来の覇権

この本から得るもの

 

著者

ティム・ジョーンズ & キャメロン・デューイング

訳:江口 泰子

出版

2018/5/25

第3章 未来の覇権

  世界を舞台に大きな変化が起きている。そしてその変化は誰が、どこで、どのようにして力を生み出し、行使するのかという問題に影響を及ぼす。誰にとっても関心が高いのは次の2つだろう。第1に中国とインドが影響力を増し、世界の大黒として再び浮上するのか。第2にアフリカ諸国は今後、経済的に政治的にどんな役割を担うのか。21世紀は中国の世紀になるのか。広範なアジア諸国が協力し合って世界を引率するのか。それとも、引き続きアメリカが世界の覇者たる地位を守り抜くのか。未来の覇者を決めるのは、安全保障か技術か、それとも貿易だろうか。

 それと同時に、中央政府の役割と権力に影響を及ぼす。国家が国家同士でパートナーを組むのに対して、民間部門は都市とパートナーを組む傾向がある。中央政府よりも市長の方が、重要な地位を占める都市もある。

 モノのインターネット(IoT)が現実のものとなり、技術に対する依存度が高まるにつれ、データセキュリティとデータ所有権の問題に懸念が広がる。データには国境がない。また電力供給をめぐる根本的な変化に、エネルギー貯蔵という基本的な問題に関心の高い者もいるだろう。

 これらの重要な問題に共通して明らかなのは、影響力をどう行使するかという問題と同じくらい、影響力の性質そのものも変化しつつあることだ。私たちが向かうのは、断片化する一方、ますます繋がりあう世界である。本章では「未来の覇権」について考察する。

 

権力と影響力の移動

 経済力の重心はさらに東へと移動して、200年前の重心地に近い場所に戻る。近年の超大国は変化の速度を抑えようとするが、膨大な人口を抱え天然資源が豊富な場所というふたつの事実は動かしようがない。

  未来の影響力を語る時、どんな見方をするにしろ重要なのは「地政学」「グローバリゼーション」「超大国の果たす役割」にまつわるマクロ的な見通しについて、さまざまに言われている内容をうまく要約することだろう。たとえば、私たちがいま目にしているのは、グローバリゼーションと国際貿易が終焉する時代だろうか。第二次世界大戦後に成立した体制はもはや時代遅れになり、2015年の時点で目的にかなっているようには見えない。あちこちで調整が進行中だ。西洋市場は勢いを失い、平和の調停者や番人として行動するというアメリカの意欲も衰えた。欧州はEUという組織上の問題に直面している。若い労働人口とミドルクラスの勃興によって大きな恩恵を被るアジア諸国は、国際貿易に影響を及ぼし始めたばかりか、外交の舞台でも重要な役割を担い始めた。今はまだ影響力の小さなアフリカと南米も、豊富な天然資源を武器に、2025年頃から変化が表れているはずだ。

 21世紀はアジアの世紀だという者がいる。それが本当であろうとなかろうと2025年になるころには、第二次世界大戦後に栄えた交易路は勢いを失い、代わりにインド洋地域の貿易が盛んになる。2000年からの10年間で2倍に増えた南南貿易(途上国どうしの貿易)は、2025年には世界貿易の3分の1を上回るとみられる。

 何世紀も続けてきた欧州の経済力は、相対的に衰退すると予想するものは多い。次の3つの未来像を予測する者もいる。第一に、ユーロ圏2つに、おそらく北と南に分裂する。第二に、ドイツマルクやイタリアリラなどの主要通貨が復活する。第三に。ユーロ圏は完全に解体して各国の通貨が復活し、これまでの経済的影響力も分散する。

 インドには有利な特徴がたくさんある。人口ピラミッドは理想的で、国内市場は大規模だ。ミドルクラスは増加し、国内に本拠を置く多国籍企業は成長著しく、資源確保のために領土を拡大する意図もない。IT分野では世界クラスの専門知識を誇り、生産工程でのイノベーションにも意欲的だ。つまり、インドは世界でトップ3の経済大国になる可能性が高い。しかし、ビジネスの相手としてはリスクが高いとみなす声も多い。インフラは当てにならず、インドでは当たり前の賄賂や汚職も大きな障害というわけだ。

 中国経済も今後は高い経済成長を維持できないと考える者もいる。とりわけ一人っ子政策の影響による、いびつな人口ピラミッドの形を見ればそう考えるのも無理はない。

 南米に目を向ければ、ブラジルの運命は中国のコモディティ(商品)ブームの縮小に影響され、2025年になるころには、その経済成長は年3%を下回ると予想される。またチリやペルー、メキシコは環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が発行すれば、恩恵を受けるだろう。その反面、内向き思考のアルゼンチンは次から次へと襲う危機につまずいているように見える。

 アメリカについて言えば、中国が世界人口の20%を占め、世界のGDPの約14%を生み出すのに対して、アメリカは世界人口の6%を占め、世界のGDP20%を生み出している。貿易とエネルギーの分野で自給率の高まるアメリカが、果して今後も世界の海の警察役を引き受け、国際貿易のルートを守ると"確約"するだろうか。数10年先には、アメリカの外交政策と経済影響が大きく後退している可能性がある。

 

中国崇拝

 中国が今後も経済的な影響力を及ぼすのに伴い、世界のあちこちの人々の間で”中国崇拝”が高まる。そしてその文化的な影響力が増すにつれ、中国に対する期待と恐れが急速に広まる。

 中国は世界を救うのか、それとも破滅に導くのか、その二択しかないかのようだ。

 中国の消費力が持つ重要性について、今さら指摘するまでもない。中国での売り上げがアップルの株価を左右する。全ウーバーの営業の3割を占めるのも中国だ。中国の消費者は、本場スコットランドの住民よりも高級なウィスキーを飲み、ハリウッド映画の成否さえも握る。

 もっと小さな企業にとって、中国は一気に売り上げを確保できる市場かもしれない。

 世界で最も二酸化炭素の排出量が多いのは中国だ。その一方で再生可能エネルギー技術の投資額も世界一であり、中国は今では太陽光と風力で世界最大の発電量を誇る。

 海外企業のためにせっせと製品を量産する”世界の工場”という役割を脱して、思うがままに競争する革新的な生産国に変わったことを、懸念すべき兆候とみなすものもいる。独占禁止法に反する慣行、知的財産権の侵害、特許権の侵害、保護貿易主義的な国家政策。これらのせいで、中国市場にアクセスするのは難しいと思うものも多い。だが、世界は新たなプレイヤーを必要としているとみなす者もいる。イノベーションを推進し、斬新的なアイデアを提案し、想像力に富んだ投資を行い、既存の多国籍企業の寡占状態に果敢に攻め込んでいく。今の世界が必要としているのは、まさにそういったタイプのプレイヤーというわけだ。

 政治的な影響力(それを支えるのは軍事力)を放つ中国の存在感を多くのものが懸念する。彼らが指摘するのは、領土拡大主義的な行動であり、サイバーセキュリティやデータプライバシーを脅かす慣行であり、人権擁護活動に対する容赦ない弾圧であり、自国の資源消費に対する「パンがなければ、ケーキを食べさせておけ」とでも言うような無知で鈍感な態度である。そうかと思うと、年配を敬う儒教的な態度や献身的とされる労働倫理、比較的視野の狭い外交政策に光を当てる者もいる。そして、中国が世界に与える、もっと良いほうの影響に目を留めるのだ。

 

アフリカの経済成長

 2005~2015年、中国のようにアフリカも都市化し、欧州のような人口が100万人を超える都市も多い。人口は増加し、アフリカ全体で20憶人に向かうとみられ、およそ五億人のミドルクラス消費が誕生して大きな影響を与えることになるだろう。

 アフリカの経済成長を長年支えてきたのは、コモディティ(商品)価格である。アフリカ大陸は地球上の鉱物資源の三分の一を、世界の原油埋蔵量の一割保有し、ダイヤモンド原石取引の七割を独占する。

 天然資源に依存する経済から脱却すべく、他の経済部門の成長に取り組んできた国も多い。これまでのところ「製造」「サービス」「観光」の三部門で大きな成長がみられた。

 南アフリカ共和国コンゴ民主共和国は、モバイル技術とソーシャルネットワークを活用し、とりわけ金融サービスと医療分野において、国民生活を大きく変える先端的なプラットフォームを提供している点で、世界的なリーダー見られている。

 政治的立場が違っても、経済成長を目指すという共通の目的を持つ国同士で二国間協定を結ぶ機会が増え、それが大陸内の新たな貿易協定に発展に、新興の商業圏の構築につながり、インフラ投資を促していくのだ。あまり民主主義がとは言えないか独裁政権の国もあるにしろ、今の政治状態を脱却した多くの国でインフラが改善すれば、今後数年のうちに経済的にも政治的にも発展を遂げ、貿易上の障壁も解消するだろう。

 2030年までには、アフリカで大幅に都市化が進み、人口の半数が都市に暮らすようになるだろう。

 

中央政府の影響力の低下

 変化を主導する中央政府の能力は、2025年までに国の内外から強い圧力にさらされるようになる。多国籍企業がルールを決める機会が増える一方、市民が信頼を寄せ、支持するのは地域に根差した活動やネットワーク型の活動だ。

 

 それに対して、州や都市の当時に対する信頼性は増し、 信任も厚い。市民は自分たちのような人間が、目の前の問題に何かしらの影響を与えられるという自信を深めている。世界の市長は都市間ネットワークであるC40を通じて成功事例を共有し合い、権限を強化し、影響力を高めてきた。だがそれも、市民の支持や協力あってのこと。ニューヨークやロンドン、パリ、イスタンブールエクアドルのキトでも、都市がより大きな影響力を持つことについて、市民の支持は高まっている。

 統治機関による、特に市による情報公開は、地域社会とネットワークに大きな力を与えてきた。世界で最も情報公開の進んだ都市のロンドンでは、多様なプラットフォームを導入してデータ公開のイノベーションを促し、効率化の向上を図ってきた。国や地域で言えば、台湾、イギリス、デンマーク、コロンビア、フィンランドという意外な組み合わせが、2015年のオープンデータインデックスの上位5か国である。オープンデータと個人データは、市民の側から「透明性」を促していくことになると思われる。市民はオープンデータにアクセスして利用できるとともに、自分が望む個人データを共有できるようになり、データという社会的資源を活用するより良い方法を作り出していくだろう。

 市民の参加機会が増えるだけでなく、クラウドソーシングを活用した政策決定や意思決定の機会が増えると政治家の必要性はますます減るかもしれない。この傾向がこのまま続くなら、最も大きな力を手に入れるのは、インターネットでよりつながった市民である。今後は中央政府の影響力が弱まって、分散化が進む。シンガポールでは、公共サービスの提供を分散化して超地域密着型にすることで、格差の解消に役立てている。

 対する政府や規制当局は、企業との間に開いた差を必死に取り戻すべきだろう。このところ、イノベーションを起こすのは企業だ。その大半はシリコンバレーに本拠地を置き、一国を凌ぐほどの莫大な資金力と影響力を備えている。技術の進歩が社会のニーズを満たすにつれ、未来の姿を大手テクノロジー企業の動向から探ろうとする。今日、熱い注目を集めるのはアップルとアルファベットだ。アップルは自動運転(プロジェクト・タイタン)と拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の開発に取り組んでいるのは公然の秘密だ。対するアルファベットはアップルよりも情報公開し、完全自動運転やVR事業を始め、幅広い事業に取り組んでいる。シリコンバレーの巨大テック系企業が注力し、利用する資源のレベルを見れば、さまざまなことが読み取れる。今にどんな変化が実現するのか。そして、そのシステムを支配するのはその企業なのか。となると、国家はどのような形で参加するのか。技術をコントロールし、資源を提供する役割なのか。だが、グーグルやアップルのような企業はますます自分たちの事業を通して、中央政府は必要ないと告げているのだ。

 

すべてつながった世界

 2025年には、1兆を超すセンサーが複数のネットワークにつながる。接続することで利益を得るものはすべて。何か一つのデバイスやネットワークとは接続しているだろう。1万倍ものデータを100倍も効率よく伝送できるようになるのが、情報セキュリティが大きな問題となる。

 

今日、インターネットに接続している人口は世界で33億人以上にのぼる。やがて10年のうちに、世界のどこにいようとも世界人口のほとんどが接続できるようになるだろう。その変化を促すのがスマートフォンをはじめとするデバイスである。

 センサーをネットワークにつなげると、効率が上がる、廃棄が減る、未知の世界が開けるといった利点も多い反面、リスクも潜んでいる。よく考えずにあらゆるものを特にデータ保護レベルの低いデバイスまでも接続してまうことになるからだ。つまり、ケトルを接続したら、それが個人の無線LANへの裏口となり、パスワードを使わずして個人データを盗み取る扉が開いてしまうかもしれないのだ。

 ケトルやラップトップだけではなく、発電所交通機関医療機関などのあらゆるものを接続するとき、懸念されるのはプライバシーではなく安全面だ。何もかあもがオンラインにつながった世界では、悪意あるハッキングのリスクが膨大に高まる。何十億というパッシブなタグやセンサーにはハイレベルな暗号化機能がないため、悪意あるハッキングの危険性は高まる。

 あらゆるものにタグが付き、クラウドを通してつながり、システムがあらゆることを分析するとき、いったいどんなことが起こるだろうか。データ分析手法を用いて、大量のデータから有益な知識や情報を抽出し、意思決定や予測に役立てる技術については、ロサンゼルスでは街角の犯罪予知を行っている。公的及び私的な情報源から得た複数のデータの流れを活用して、ロサンゼルス警察は、実際に犯罪が発生する”前に”予測される犯行現場に警察官を派遣する。「そのアルゴリズムは一般的に”予測警備”と呼ばれることを行う。つまり、過去数年間の、場合によっては過去数十年間の半税発生データに基づいて、アルゴリズムがデータを分析し、その日にどの地域で、どんなタイプの犯罪が起こりそうかを割り出す」。

 ロサンゼルスのような大都市においてそれだけの効果があったということは、ビックデータ分析の今後の可能性を強く裏付けるとともに、近い将来あちこちの都市で導入される可能性も高まったという意味だ。未来の力を手に入れるのは、最も重要なデータを所有するか、そのデータに優先的にアクセスできるものだろう

 

個人データ保護 

  個人データ保護を積極的に推進する多くの国にとって監視が高いのは、国際規格やプロトコルを設定したり、より高い透明性を確保したりすることだが、国際的な合意から離脱して独自のやり方を選択する国もある。

 

 

 EUは、個人データ保護について強硬的な姿勢を取っている。課徴金を強化し、企業が個人データを取得する際にはユーザーの同意を得るように要求し、「データ保護・バイ・デザイン」の原則も定めた。EUのアプローチは、「プライバシーの保護は市民の基本的権利だ」という発想に立ち、トップダウンで規則を整備して一律にルールを課し、データの利用を規制するか、その利用について”明示的な”同意を得るというものだ。一方アメリカはセクトラル方式を採用し、機密性の高い情報を扱う、例えば医療やクレジットといった特定の部門において、プライバシー侵害につながるリスクを規制する。つまり、アメリカにはデータ利用にまつわる包括的な規則が少ないため、業界はより革新的な方法でサービスや開発したり展開したりできる反面、セクター(部門)の狭間に位置する業界のデータ利用については、規制を免れるといったことも起きてしまう。そろそろ規制が技術に追いつくべき時だろう。現在の個人データ保護法制は、コンピューターによって大量の個人情報が処理されるようになった、1970~80年代の状況に対処するために整備された。当時データ処理は複雑で資源集約型の作業という前提があり、それゆえ豊富な資金力を持つ大企業以外に、データ処理は不可能と考えられていた。ところが、その考えはもはや古くなった。いまは毎日5億点を超える画像が、そして毎分200時間を超える動画がアップロードされて世界中の人の目に触れる時代だ。通話も含めて人々は膨大な情報を作り出すが、その情報量もかすんでしまうほどのデジタル情報量が、毎日その彼らについて作り出されるのだ。ビッグデータのさまざまな形の技術的能力も、すでに洗練されて普及のレベルに達し、その技術的能力が提供する機会と、それらの技術が提起する社会的、倫理的な問題とのバランスの取り方について慎重な議論が必要になった。

 国内での個人データの保護に加えて、多くの政府が懸念するのは「個人データの越境移転」、すなわち自国の市民の個人データが他の国へ移転されたり、さらにはそこから別の国に移転されたりする状況である。いわゆる、スノーデン事件をきっかけとして、韓国、ロシア、インドネシアベトナム、ブラジルは、データローカリゼーション法の制定を進める。理論的に言えば、この法律によって、自国の市民のプライバシー保護と個人データのセキュリティを確保するとともに、自国(新興国)のテクノロジー産業も保護できる。だが、分散型であるインターネットの構造を考えれば、こうした要求だけでデータの越境をを阻止することはできない。事実、一部の独裁主義政権ではこれらの政策を悪用して、国内での監視を強化したり、データローカリゼーション法を通じて、国内のインターネット企業の競争力を阻害したりしている。国内のデータセンターは経済的に反映するかもしれないが、海外のインターネット企業やクラウドコンピューティングといった、安価な技術に依存している国内の他の企業にとっては、国内のコンピュータ関連施設を利用するか新たにサーバーを設置しなければならなくなり負担が大きい。将来的には、国際規格を設定することが、より現実的な解決策のように思える。

 ここにベースとなる原則がある。「国連ビジネスと人権に関する指導原則」である。それによれば、企業や他の第三者から個人が人権侵害を受けた場合、すべての国はその個人を守る義務がある。すべての国に呼び掛けているが、同意するのは簡単だが適応するのはずっと難しい。

 重要なのは、個人データ保護法を国際標準にする方法とユーザーの意識を高める方法の2点だろう。市民の同意を得られる内容を法的に定義することにより、現場の実務が明確になるだろう。企業はすでにユーザーの個人データを利用している。だがそれは、カスタマーサービスを向上するためではなく、自社の利益に結び付けるためだ、と多くの市民は不信感を募らせる。今後はインターネットのインフラに対する信頼も低下するだろう。そして、現在や過去の膨大なデータが、誰の許可も得ずに勝手に掘り出されて利用されるという懸念がますます広がるに違いない。

 

通商を促進する国際規格

  通商をめぐる国際規格は、貿易の自由化を促進し、煩雑な手続きを省いて単純化を図る方向に向かっている。だがその反面、さらに制約を課すような協定や基準、プロトコルも多い。

 

 「税関手続きを自動化しただけで、コンテナ一台につき115ドルの節約になる」と世界銀行では試算する。

 世界が国際貿易の最適化を目指すなか、貿易の自由化を推進する動きと、ますます制約を課すような動きがあり、今後の国際ルールの方向性とそれぞれに対する支持に影響を与えそうだ。国際貿易はアメリカ主導で発達してきたと言えるだろう。しかし、国際貿易においてインド洋の重要性が大西洋の重要性を脅かすようになったいま、次のような問いが持ち上がる。国際貿易のリーダーたる地位お影響力を、アメリカはどうやって維持するのか。

 TPPには環太平洋の11ヵ国が参加する。日本は参加するが中国は不参加だ。アメリカが参加すれば、財輸出の44%を、農作物の85%をTPPが取り扱う。統合的な経済圏を築き、サービス経済を成長させるルールを確立し、環太平洋に資本の流れを作るというのが、TPPの公的な目標である。だがこの協定に批判的なものは、TPPはアメリカのテクノロジー企業と銀行制度に恩恵をもたらし、国際貿易においてドルの重要性をゆるぎないものにするためだと警戒する。対する支持者の考えは違う。TPPが発行すれば、中国と貿易を行うTPP参加国のガバナンス基準を向上させることになり、ひいては、もっと国際的なルールに従うよう中国に圧力をかけれると主張する者も多い。

 EUや北米自由貿易協定(NAFTA)、将来のTPP、TTIPなどの自由貿易圏はどこも関税を撤廃するか削減するため、各国はそれぞれの国益を守るために、輸入割当やライセンス、反ダンピング規制、規格、輸入信用状、輸出補助金などを採用してきた。こうした税関手続きや技術規格、包装表示/パッケージ包装の取り決めは、貿易を直接制限するものではないが、管理上の煩雑な手続きを増やすことになり、結局は貿易を制限する方向に働いてしまう。

 自動化とシステムの効率化は、規格やプロトコルに参加しなければならず、それがますます彼らを新たなシステムの中へ引き込む。自動化の進展による大きな利益の一つは、書類仕事が減り、取引コストが削減されることだろう。とは言え、あらゆる関係者が協力し合える明確なデジタル規格を定める必要がある。となると、主導権を握るのはアメリカということになる。

 AT&T、シスコ、GE、IBM、インテルの5社が設立したインダストリアル・インターネット・コンソーシアムのような特定の部門か地域に焦点を当てた共同事業体(コンソーシアム)が設立されたことは大きな一歩だが、目的はあらゆる産業のグローバルスタンダードを設立することにある。将来的にはみな、国際的な取引主体識別コードを利用することになるだろう。

 様々な規格がなければ、どの国も全く平等な立場になるが、そのような状況はどこの国も望んではいないように思える。

 

オープン・サプライウェブ

  従来の国際的サプライチェーンにとって代わるのは、もっと現地的で消費者志向のサプライチェーンとネットワークだ。

 

 3Dプリンタは製品出荷にも変化をもたらしつつある。すでに航空宇宙部門で大きな影響を与えている3Dプリンティングは、さらに他の部門へも進出して、いまに消費者が世界の裏側から製品を取り寄せる時代が終わり、自宅で部品を3Dプリントする日がやってくるかもしれない。必要なのは、金属やプラスティックなどの材料と3Dプリンタだけだからだ。

 現地で製品を完成させる企業も増えるだろう。顧客の要望に応じて家電を最終組み立てる場合もあれば、地元のディーラーでBMWにオプションを装備する場合もあるだろう。それゆえ、最終製品の部品はもっと分散型になり、小ロットの注文になる。アマゾンはすでに、配送車の中に3Dプリンタを備え付ける特許を申請した。リアルタイムという概念が、新たな次元の扉を開いた例といえるだろう。

 このような迅速さは、幅広い選択肢を確保しておく際にも求められる。製造コストや為替変動に対してだけ、リスク管理をすればいいわけではない。サプライヤーが抱える潜在リスクに対しても、迅速に対応する必要がある。垂直統合の時代が終わりを迎え、もっと流動的な関係が生まれはじめた。企業はサプライチェーンの運営をやめて。サプライウェブを築こうとしている 。そのなかでは、クラウドを用いた情報の民主的な流れによって、パートナー、顧客、サプライヤーという3つの次元の複雑なネットワークが、鎖(チェーン)ではなく、網(ウェブ)状で機能する。

 輸送が滞る。インフラに欠落が生じた。為替が変動した。あるいは工場が閉鎖された際には、部品の調達に支障が出てしまう。企業は製品出荷を維持するために、迅速に反応するフレキシブルなネットワークを別の選択肢として用意しておく必要がある。それと同時にサプライウェブの透明性が高ければ、二次、三次仕入先も自分たちの立場を客観的な目で観察でき、もっと公平な条件で競争に加われる。世界最大の会計事務所デトロイト・トウシュ・トーマツによれば、サプライチェーンはバリューウェブに進化したというデトロイトの定義するバリューウェブは多くの点で効率がいい。コストが削減できる。サービスレベルが向上する。リスクを緩和する。学習とイノベーションを促す。さらには、新しい技術が生み出す多くのデータによって透明性が高まるため、今後はバリューウェブに向かう動きがさらに加速するかもしれない。

 このサプライウェブに参加してその資源を活用する企業は、製造、組み立て、物流の分散拠点を、短期あるいは長期契約で利用することもできる。その一方で、市場の変化に合わせて急務となる莫大な投資を行ったり、長期リース契約を結んだり、戦略的パートナーシップに参加する必要もない。企業はいっそう効率的に、世界中に製品を供給できるようになる。マーケットプレイスによって可能になったオープン・サプライウェブは規模の大小を問わず、多くの製造業者にとってプラスの選択肢に思える。

 今後は、こんな問題が重要になるはずだ。共有型のオープン・サプライウェブによって効率は向上する。この反面、競合とパートナーを組むという明らかな商業的リスクもある。この二つのバランスを、果たして企業がどう取っていくのか。だが実際、よりフレキシブルなアプローチが生む透明性と効率性が大きな魅力となって、将来的にはオープン・サプライウェブが標準になると考えるものも多い。

 

結論

 目まぐるしく変わる状況

 

 データの未来やプライバシーの未来について開いたイベントや、サイバーセキュリティ―やコネクッテッドカーを取り上げたワークショップで必ず話題にのぼったのは、データの持つ力、それも特にそのデータがふさわしい者の手にあるかどうか、についてだった。

 今後、国際的にあるいは地域レベルにおいても光が当たる多くの分野において、誰や何が主導権を握るのかについては、今のところ明らかに流動的だ。政府が企業と影響力を競い、政府がどうしが覇権を争い、ネットワークやNGOがこれまで以上に存在感を増す。2025年には、これまでの10年とは全く違う形の力が現れているかもしれない。

 

感想

近未来予測2025を読んでのまとめ感想 第2章 未来の場所

この本から得るもの

 2025年までに起こる都市の変化

著者

ティム・ジョーンズ & キャメロン・デューイング

訳:江口 泰子

出版

2018/5/25

 

第2章 未来の場所

 2007年5月、都市人口が初めて世界人口の半数を超えた。2030年には世界全体で50億人が、2050年までには地球上の70%が都市で暮らすとみられている。

 都市にとって、集合住宅の開発と大量輸送システムの整備は最優先課題である。加えて、都市の大気汚染と水害の危険性である。

 いっぽうの農村部のも決して住みやすい場所ではない。交通輸送システム整備、医療の提供、教育機会の充実に加えて、基本的な公衆衛生は多くの農村部の課題である。

 本章では、都市部か農村部化を問わず、私たちはより良い暮らしを営むための課題と解決策について探っていこう。

 

住処を奪われる人々

 21世紀には、気候変動によって海岸に近い都市が深刻な洪水に見舞われる回数が増え、異常気象が異常でなくなり、耕作地が減り、安全な飲み水が手に入らなくなり、住む土地を追われる環境移民が増加する。経済格差の拡大を受け、条件のいい職を求めて多くの人が移動する。受入国や都市の人口が増加すると、その地域の資源に大きな負担がかかるため、今度はその国の政府が国民に海外移住を勧める。きちんとした統計がないために、現状を正確に把握しないまま、反動的な政策を打ち出してしまう危険性もある。前例のない大量移動に対応する持続可能な方法を見つける以外に、残された選択肢はないだろう。

 

インフラ不足

  農村部から都市部へ移り住んだ大量の人口は、さまざまな方法で都市に負担をかける。港、輸送システム、病院、幹線道路、上下水道、電話システムなどの重要なインフラは、国の繁栄や安全で安心できる生活の基盤である。

 マッキンゼー・グローバル研究所の試算によれば、現在のインフラ水準を2030年まで維持するためだけに、「世界は現在のインフラ投資額を1.6倍に増やす必要がある」という。重要な点を指摘すれば、その数字は維持管理費、リニューアル費、予備費-すなわち気候変動に合わせて必要となる費用-を含んでいない。

 先進国にとって懸念の的は、負の財産となったインフラ莫大な維持管理費や復旧費がかかるることだ。

  

 各国の政府には次の3つの選択肢がある。

 1 インフラ需要を減少させる。

 2 新たなインフラを整備する。

 3 効率的な運用と維持管理費によって、既存のインフラを最適化する。

 どの選択肢も考えられるが、最も大きな可能性があるのは第3の選択肢だ。ビッグデータとデジタルネットワークの活用すれば、現行のインフラをより有効活用するか、場合によっては完全に迂回することも可能だ。

 また、政策立案者は既存のインフラをより長く活用し、技術とインフラ利用の変化に適合するという選択肢に賭ける機会が増えそうだ。となると、ここで新たな問題が発生する。すなわち、誰がそのインフラ開発全体の責任を負うのか、誰を信用してその責任を一任するのか。

 政府が単体でインフラ開発を行うのではなく、民間部門の参加を望む傾向が強まる。都市が抱える大きな課題にともに取り組むためには、政府はますます民間部門と積極的に協力し合い、都市を支えるインフラをも向上させる必要があるだろう。

 

フレキシブルなインフラ

  インターネットに接続した、利用しやすい分散型のインフラを整備するためには、複雑で費用の書かかるリスクを孕んだ問題を解決しなければならない。既存インフラの性能を高めて、新たな用途にも対応できるオープンなシステムにしたうえで、維持管理も行うためには、それ相応の資源が必要になる。

 2025年にはインフラはさらにスマートになるばかりか、適応性も高まっているはずだ。電気を消費すると同時に生産する「プロシューマー」が誕生すると、エネルギーの流れは双方向になり分散型になる。

 ビルや通信システムもすでにインテリジェンス化している。消費する以上の電力を作り出す。自然に換気を行い、ソーラーパネルで発電して、6万リットルもの水を蓄える。

 インフラのフレキシビリティを高めるべき理由の一つは、効率性を追求する必要があるからだ。重要な資源が関係する場合にはなおさらである。インフラ供給者と規制当局の当面の目標は、より少ない資源でより多くのサービスと提供し、生産物を再利用し、無駄を極力減らして間違った供給を避けることだろう。

 ビッグデータにしろ。個別データや処理済みデータにしろ、データにアクセスして、うまく活用できるかどうかがカギ握る。

 インフラ供給者はサイバーセキュリティに熱心に取り組む必要があるとともに、システムをみなに開放する必要がある。

 2025年には次の4つが実現しているかもしれない。

 

1 特定の用途に応じた供給が可能になる

2 需要にもっと柔軟に対応できる

3 効率性が高まる

4 インフラ供給者がより長期的な視野に立てるというプラスの副産物が生まれる

 

利用しやすい交通輸送システム

 輸送システムは都市の風景を決め、経済を活性化させ、人々の欲望を満たす。

 アプリを活用したウーバーなどの配車サービスもそのひとつである。

 しかし、必要なのは根本的な変化だ。今日、温室効果ガスを引き起こす原因の約三分の一を輸送システムが占めている。この点で、改善が必要なのは言うまでもない。

 

自動運転車 

 完全自動運転への移行が実現すれば、幹線道路をトラックプラトゥーンが走行し、都市の中を小型の配達カーが行き交うようになる。コネクテッドカーはネットワークを築き、さまざまな技術を試行し、いずれ運転手なしに走行する画期的な体験を提供する

 

大気汚染

  インドでは毎年、大気汚染が原因とみられる病気で62万人が命を落とす。中国では、大気汚染が原因で亡くなる住民の数が1日4000人にものぼる。

  北京の大気汚染はあまりにも深刻なために、その空気を吸った時にはいに及ぼす影響は、1日40本のタバコを吸った時に匹敵する。

 2012年、大気汚染が原因で亡くなった人は世界中で700万人を数えた。

 ブルガリアラトビアスロベニアは、毎年交通事故でよりも大気汚染で亡くなる市民の方が多い。

 車への依存度を減らすのは最優先課題だろう。

 

水没する都市

 ほとんどの都市は洪水に対する備えがない。多くの地区や世帯はもはや洪水保険に加入できず、ますます危険にさらされている。

 21世紀中にあと3~4度の気温上昇は免れないだろうという懸念が広がっている。

 原子力エネルギーと太陽エネルギーを推進し、超効率の電池を開発しない限り、2~4度の平均気温上昇を防ぐことはまず無理だろう。

 想定外規模の洪水に備えることが最優先課題になりそうだ。

 2070年になる頃には、水害に遭う危険性のある総資産は今日の10倍の35兆ドルに上る見込みだ。気候変動が原因で内陸か北半球への移住を余儀なくされる人口は、世界中で最大10億人にのぼるという。

 

都市間の競争と協同

 都市と都市との間の競争は国境を越えて繰り広げられ、変化を促す。優秀な頭脳を引きつけるために都市は競い合う反面、過密、資源不足、大気汚染といった、繁栄の裏側にある問題を解決するために協力し合う。

 今後は都市国家ではなく都市間の活動や協力に焦点が絞られるようになると指摘するものもいる。18世紀に消えた都市国家という考え方が再び脚光を浴びようとしているのだ。

 だが、都市の影響力が中央政府の範囲を超えて拡大することには、マイナスの面もある。農村部に対する中央政府の関心が薄れてしまうのだ。都市生活者と地方生活者との間にますます溝ができ、それが社会問題もつながる。

 

フグリッド

 格差のせいか、自ら望んだのかはともかく、オフグリッド(接続しない)暮らしをしている人は、社会から分断されるか、もしくはプライバシーを保ち、健康的で心穏やかな日々を送ることができる。どちらの場合にしろ、イノベーションをはぐくむ土壌である。

 著者が出会った旅行者のほとんどは、旅を続けながら勤め先の企業でパートタイムとして働くか、フリーランスで働いていた。週に2日、無線LANにちゃんと接続できる環境にあれば、旅をつづけながら働いて給料も稼げる。

 さらに重要なことに、公共部門であれ、IT企業であれ、マーケティング企業であれ、彼らの雇用主はそのようなワークスタイルに何の不満も抱いていないのだ。今後フリーランスが増え、仕事そのものよりもプロジェクト単位で考える働き方が広まれば、特定の部門において「無線LANノマド」がますます増えるに違いない。とは言うものの、それが当てはまるのはごく一部の運のいい者たちだけで、世界人口の訳6割がいまだにインターネットに接続いていない。彼らはいろいろな理由でオフグリッドな生活をしている。

 インターネットに接続しない理由はいろいろだ。まず最も明らかな理由はアクセス格差である。アクセスを阻むおもな障害は「インフラの質」「通信料の高さ」「インターネットに接続する必要があるかどうか」の3つだろう。アクセス格差はインターネットだけでなく、教育や医療にも当てはまる。つまり、貧富の差によってインターネットや教育、医療を利用できるかできないかというアクセス格差が広まり、それがますます社会格差を拡大させる。

 国連の「持続可能な開発目標」は、目標10において「国内および国家間の格差是正」を真正面から謳っている。例えば、世界中で10億人もの人が電気のない暮らしをしている。--すなわち、多くの都市で100年以上も前から当然のように利用してきた電気を、いまだ世界の200万もの村が利用できていない。その10億人のほとんどは、単に電気がもたらす利益を享受できず、夜に電気をつけれないとか、食べ物を冷蔵保存できないということだけではない。薪やろうそく、灯油や石油を燃やして汚れた空気を吸い、健康にも悪影響を受けているのだ。

 デジタルオフグリッドの生活には、プラスとマイナスの面がある。プラスの面に目を向ければ、ストレスが減って穏やかな気持ちになれ。環境にも優しいうえ(皮肉にも、影響力のある人や周囲の人との)つながりが増え、節約にもなる。その一方で、よく言われるマイナスの面は格差の拡大だろう。デジタル世界へのアクセス格差は社会の分裂を生む。多くの調査が示すように情報格差デジタルデバイド)は経済的、社会的、民主主義的な格差を拡大させる。

 

結論 スマートシティ VS スマートシチズン

 スマートシティから、たくさんの可能性が生まれている。インドは最近150億ドル規模のプロジェクトに乗り出した。既存の中規模都市を近代化して100のスマートシティを開発し、大都市の衛星都市にするという計画だ。その目的は、既存の中規模都市の基本インフラを改善することにある。安全な飲料水と電力を供給し、廃棄物処理と公共交通機関の充実を図り、IT接続性を促進する。--それによって、都市が抱える難題を「スマート」に解決するのだ。

  たいていの人が考える理想的なスマートシティとは、再生可能エネルギーシステムと優れた輸送網、デジタルインフラとが一体となって、すべての住民に高効率の持続可能な住環境を提供する都市だろう。

 このように都市のスマート化を目指すプロジェクトは多いが、ここで大きな問題が浮かび上がる。すなわち、都市はそれ自体でどこまでインテリジェンスになれるのか。そして、スマートシティで暮らす住民はもっと情報に通じ、よりよい意思決定を行い、重要な戦略の開発と実行に参加できるのか、という問題である。積極的に協力して参加する、「スマートな市民」がいて初めて、都市を住みやすい生活空間に変えられるのではないだろうか。いま、求められているのは、再前線に立って住民とともに都市をデザインすることなのだ。

 「都市にはあらゆる人に何かを提供する能力がある。それが可能なのは、都市があらゆる人によって作られるからであり、またその時にこそ、その年の能力は発揮される。」今日にも当てはまる言葉ではないだろうか『アメリカ大都市の死と生』より。

 

 

感想

 2030年、50億人が都市に住む。

 都市機能もたないのではないかと感じてしまう。

 交通機能は十分な役割を果たせるのか。公共交通機関が、今はやりのコロナなどの感染症で、使えなくなったら都市機能マヒする。柔軟な働き方は大事。

 インフラ維持にも金かかる、開発にも金かかる。う~ん、どんだけ金使うのか。維持費に関して言えば、国の予算は極端に制限されている。新規開発はできない。4、5年に一度にある換装のタイミング逃したら契約会社に作業してもらえないみたいなことが起きる。自分たちでやらなくては。維持保守会社に頼りすぎ。しかし、そのような人材育成する金もないから、この現状か…。そんで、意外とちゃんとシステムを理解して利用していないという現実。ITリテラシー高めよう。

 「洪水」が今後のよく起こる災害となりそう。異常気象が異常で無くなる。気温上昇。エヴァンゲリオン的な四季が無くなり、常夏状態になってしまうのか。そうなると洪水はやばい。

 システムを活用し、スマートシチズンになって、スマートに問題を解決したい。

 まずは、事務作業をなくしたい。自分に貢献できるのはこれくらいか。

 病院に負担をかけないように「予防医療」も大事。