「食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術」を読んだまとめ感想
この本から得るもの
栄養学でハイパフォーマンスビジネスパーソンを目指す。
ストレスに負けない精神力
常に冴えわたっている思考
不調、痛み、病気と無縁の健康な体
著者
満尾 正(Tadasi Mituo)
アメリカで最新のアンチエイジング(抗加齢)医学を学び2002年に赤坂に日本初の「アンチエイジング専門クリニック」を開業。
まえがき
日本の栄養学は20年遅れている。
日本の医学部で栄養学を学ぶことはほぼないため、栄養学に基づいた栄養指導をできる医師はほとんどいない。
米国は医療費が桁違いに高額なため、米国民は病気にならないように自己防衛すべく健康雑誌や書籍から情報を得て予防医療を自ら実践している。日本の医療関係者でも読まないような難読な予防医療の書籍が一般に売られている。
つまり、食こそが栄養の基本であり、栄養知識を身に付けて実践することが健康という資産を作り上げる投資になるという常識が米国には根付いている。
日本のビジネスパーソンは「パーティーフード」を食べすぎ。食事を快楽にしすぎてはいけない。
投資になる食事(実践)
・毎日納豆1パック
・食物繊維おかずを作り置き
・週の半分は魚
・野菜は1日4色以上
・ココナッツオイルを常備する
・鉄とビタミンBをチャージする
・ホルモンの材料「DHEA」を食べて補給
投資になる食事(解説)
毎日納豆1パック
1 感染予防
2 骨を丈夫にする
4 炎症予防、アンチエイジング効果
食物繊維おかずを作り置き
1 腸内細菌を整える(ビタミンが作り出される)
2 うつ病に効果的
週の半分は魚
体調が優れないとき、検査結果として「炎症を起こしている」。
炎症を抑える食べ物として一番バッターは「魚の油」(オメガ3系脂肪酸)と呼ばれるEPA、DHAを豊富に含み慢性炎症を抑制する働きを持つ。
青魚、鮭にはビタミンDがとれるメリットあり。
野菜は1日4色以上
野菜が取れているかどうかの簡単な目安になる。
「赤、黄、橙、緑、紫、黒、白」の7色を意識して、これらのうち4食を1日に取る。
【赤】
リコピン:抗酸化作用はβカロテンの10倍、ビタミンEの100倍
★トマト、スイカ、唐辛子
【黄】
フラボノイド類:抗酸化作用、ビタミンCの吸収を促す、血管を強くする。
★玉ねぎ、パプリカ
【橙】
βカロテン、アルファカロチン、クリプトキサンチン
:体内でビタミンAに変換される。
★カボチャ、ニンジン
【緑】
クロロフィル:抗酸化作用、血液サラサラ、血中コレステロールを下げる。
★ホウレンソウ、小松菜、春菊、キャベツ、抹茶
【紫】
アントシアニン:抗酸化作用。熱に弱いため生食が適している。
★なす、赤キャベツ、赤しそ
【黒】
クロロゲン酸:抗酸化作用、脂肪を燃えやすくする。
★ジャガイモ、サツマイモ、ゴボウ、コーヒー。
【白】
硫化アリル:辛みのある成分。抗酸化作用、がん予防、有害物質の排泄を促す。
★にんにく、長ネギ
イソチオシアネート
:辛みのある成分。すりおろす、きざむなどして細胞が壊れた時に生じる。
★ブロッコリースプラウト、ブロッコリー、キャベツ、大根
ココナッツオイルを常備する
肝臓で代謝され「ケトン体」と呼ばれる脳細胞を働かせるうえで、非常に効率的なエネルギー源になる。頭脳労働が多い人におすすめ。購入時は「低温抽出」のものを選ぶ。エクストラバージンと表記があればOK。
鉄とビタミンBをチャージする
細胞中のミトコンドリアが作るエネルギー(ATP{アデノシン三リン酸})の生産に必要。鉄が不足すると、低体温、冷え性、偏頭痛、いらいら、うつなどの症状が起こる。ATP生産には同時にビタミンB群も必要となる。
ビタミンB群が不足しやすい人
1 糖質摂取量が多い
2 頭脳労働をしている
3 便通が不安定
ホルモンの材料「DHEA」を食べて補給
「何となくやる気が出ない」、「気持ちが上向かなくて気力が衰えている」こんなパワーダウンを実感したら男性ホルモン「テストステロン」の分泌が低下している可能性がある。低下すると意欲や記憶力、骨量や筋肉量の低下、うつ病の原因にもなる。
DHEAとは「デヒドロエピアンドロステロン」の略で、男性ホルモン、女性ホルモンの原料となるステロイドホルモンの一種で、副腎で作られている。
これは、粘り気のあるイモ類からとることが可能。里芋、ヤマトイモ、タロイモ。
食べない投資、避けるべき食べ物。(実践)
パフォーマンスを下げるハイリスクな食べ物を紹介。
「何を選ぶか」と同じくらい「何を避けるか」が重要。
・甘い飲料
・糖度の高い「果物」、「野菜」
・「白い主食」
・揚げ物など高温調理された食べ物
・有害金属
・過度な飲酒
食べない投資、避けるべき食べ物。(解説)
解説の前置き 「現代人は糖質の取りすぎ」
朝にパン、昼にパスタ、午後にお菓子をつまみ、夜は飲み会という生活のビジネスパーソンは珍しくない。糖質の取りすぎによるリスクを2つ紹介。
リスク1
糖質過剰摂取による高血糖状態が長く続くと、糖質とたんぱく質が化合して生じる「糖化たんぱく質」が増え、その中で正常に戻れなくなったAGEs(終末糖化たんぱく質)がさまざまな細胞障害を引き起こす。
日本人はインスリンの分泌量が少ないと言われており、高血糖になりやすい。
リスク2
精製された穀類や砂糖類などの取りすぎによって血糖値の乱高下を引き起し、体調不良の原因となる。急激に血糖値が上昇すると、血糖値を下げるために大量のインスリンが分泌される。このため血糖値は下がり始めるのですが、インスリンの影響は血糖値が下がった後まで残るため、数時間後には血糖値が必要以上に下がってしまう。この状態を「低血糖状態」と呼び、集中力や思考力の低下や体のだるさなど様々な症状を伴うことが知られる。
1 糖尿病
2 動脈硬化
3 肥満
4 脳機能への影響
では、糖質はどの程度摂取したらよいのか?
その判断をするための一つの指標となる、ハーバード大学が2018年に発表した、炭水化物摂取量と死亡率の関連を調べた研究論文を見てみよう。この研究では、極端なカロリー摂取をしていない1万5428人の成人男女を対象に平均25年間の間、食事の内容と生命予後との関係を調べました。この結果、炭水化物からの総エネルギー摂取が50~55%の群が、最も死亡リスクが低いことが判明したのです。一方で、最も死亡リスクが高かったのが、炭水化物摂取量70%の群と、40%の群でした。
つまり、炭水化物摂取量が多すぎても、少なすぎても死亡リスクは高くなるということです。これを踏まえると、大切なのは過剰な糖質制限をではなく、個々の運動量や体質によって糖質の必要量はどれくらいかを経験や検査から知っておく必要があることがわかる。
研究の中で最も死亡リスクの少なかった「炭水化物50~55%」は1日2000カロリーとした場合、炭水化物から食物繊維を除いたと質量でいうと「200~250g」です。ただし、デスクワーク中心の仕事だったり、毎日運動していない場合には「150~200g」以内にすることをお勧めします。
一般の方は、糖質を1日当たり200~300gとっていると言われているので、150~200gは実現しやすく無理のない数字かと思われる。
簡単な実践の目安は、茶碗に持った白米の糖質は約50gなので、朝と昼に茶碗一杯ご飯を食べて夜はおかずのみにするという方法。
甘い飲料
缶コーヒーなどの市販の飲料水は短時間に大量の砂糖を摂取するため、血糖値に対する影響が甚大。今後、口にする飲み物は「水」、「茶」、「コーヒー」の3択を基本とすることをおすすめ。砂糖は添加しない。
国内における清涼飲料水の生産は年々増加の一途をたどっていますが、健康管理の目的から「甘味料への課税」や「人工甘味料への置き換え」を望む声も多く、その消費に対して警鐘が鳴らされています。
「砂糖を使用した飲料」と「100%果汁のジュース」と「人工甘味料を使用した飲料」の3つを使って、発がんとの関係を調査したグループがあった。
結果、「砂糖を使用した飲料」と「100%果汁のジュース」で発がん率の上昇がみられた一方で人工甘味料を使用した飲料では、発がん率の上昇は見られなかったとのことでした。100%果汁のジュースは健康を促進するイメージは完全に崩壊しました。
なお、人工甘味料と発がん性との明らかな関係は見られずとも、人工甘味料には腸内細菌叢を変化させてしまう別のリスクがあります。いずれにせよ安易に摂取すべきものではないということです。
糖度の高い「果物」、「野菜」
最近の果物は品種改良によって糖度が高くなっています。
ただ、どうしてもデザートが食べたくなった時には、白砂糖のたっぷり使われたお菓子よりも、ビタミン・ミネラルが豊富な果物を選ぶ方が正解です。血糖値に大きなインパクトを与えないよう、糖度の高いもの(パイナップル、もも、バナナなど)は避け少量を楽しむようにする。
「白い主食」
白いご飯や食パン、うどんなど白い炭水化物は精製の過程で本来あるはずのビタミン、ミネラル、食物繊維を失いほぼ糖質だけになっている。これら生成された食品は、栄養が失われた空っぽのカロリーという意味で「エンプティカロリー」と呼ばれている。
エンプティカロリー食品を食べると、カロリーだけは得られるがビタミン、ミネラルなどの栄養が得られず、体は栄養失調状態になる。すると脳が「もっと栄養を取れ」と指令を出すため食欲がさらに加速します。白いご飯や食パンを食べすぎるのはこのため。
しかも、エンプティカロリーはその糖質の多さから、分解のためにビタミン群をいたずらに消費し、さらに栄養失調状態が深刻化する。加えて、食物繊維も乏しいために食べると血糖値の乱高下を引き起こす。
食べると体に益になるどころかマイナスになるという、まさしく栄養泥棒なのです。
糖質の摂取を控えるように伝えると、炭水化物すべてを控えた方がいいと誤解する人も多いがそういうわけではない。というのも、炭水化物とは「糖質+食物繊維」であり、質を選び、量をコントロールすれば問題ありません。
「白い主食」の代わりに玄米や雑穀米、ブラウンパンやライ麦パン、全粒粉を使ったものを選ぶのが基本となります。未精製の穀類はエンプティカロリー食品と違ってビタミン、ミネラル、食物繊維を丸ごと残しているので「ホールフード」とも呼ばれる。
食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにし、ビタミンB群が糖質代謝のサポートをする。未精製の食品は人の体にとって実に都合よくできている。
白米を食べるにしても、最初に野菜やキノコなど食物戦を多く含むものを食べると血糖値の上りは緩やかになります。食物繊維や油脂には糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。
トランス脂肪酸
炎症はストレスや外傷、細菌感染などによって引き起こされる他、食べ物が原因になることも多々あります。細胞が傷つくことで生まれる炎症を予防するうえで最も警戒すべきものが「食べるプラスチック」とも呼ばれるトランス脂肪酸。
トランス脂肪酸は自然界には存在しない特殊な脂肪酸。不飽和脂肪酸に水素を添加したり、高温処理したり、科学的な方法によって油脂を抽出したときに生成されます。
マーガリン、ショートニング、植物性油脂、植物油脂と表記されているものは、高濃度のトランス脂肪酸が含まれていると考えよ。
良い油と悪い油の知識は必須。
L短鎖脂肪酸
L中鎖脂肪酸(ココナッツオイル)
L長鎖脂肪酸(バター、牛脂)
L一価不飽和脂肪酸
L多価不飽和脂肪酸
LN-3(オメガ3)系(えごま油、アマニ油、紫蘇油、魚油)
LN-6(オメガ6)系(サラダ油、ゴマ油、大豆油)
オメガ6系はリノール酸、リノレン酸が代表的な脂肪で、リノール酸は体内で代謝されるとアラキドン酸を増やし体内に炎症を起こす原因となります。このため、揚げ物は食べ過ぎないように注意すべき。
一方、安心して取れるのがオメガ3系。DHA、EPAは炎症を抑制する物質を作る。えごま油やアマニ油が多く含む「αリノレン酸」は体内でDHAやEPAに変化すると考えられるが、これには個人差がある。日本人の場合は1~2割しかDHA、EPAに変換する代謝を持っていないと言われている。炎症予防効果が必ず得られるわけではないが、炎症原因にはならない油として認識しておくとよい。
★選ぶ油
バター、ラード(適度)、青魚、低温抽出のココナッツオイル、オリーブオイル(生食)
★排除する油
マーガリン、ショートニング、ファットブレッド、植物油脂、植物性油脂などトランス脂肪酸(市販のパンやお菓子に多い)、サラダ油、ひまわり油、コーン油
揚げ物など高温調理された食べ物
高温で調理された揚げ物や焼き物には「AGEs(終末糖化産物)」という物質が含まれており、体内の炎症の原因となる。アンチエイジングの世界では最強の老化促進物質とも言われている。唐揚げ、コロッケ、あめ色の玉ねぎ、パンケーキなどたんぱく質と糖化を含む食材を「キツネ色」と呼ばれる褐色に仕上げたものはすべて「AGEs」という糖化の産物を発生させている。AGEsを増やす原因は体内で起こる反応と、外部から「糖化した食べ物」をとるという2つのルートがありいずれも老化を促進する。肌を構成するコラーゲンが糖化すればシミ、しわ、くすみを発生させる。血管であれば動脈硬化を引き起こし、骨であればもろくなる。
高温調理されたものには大量のAGEsが含まれていることを頭に入れておく。
会食の際に選ぶべきメニューは、
「焼く」より「茹でる」、
「炒める」より「煮る」、
「揚げる」より「蒸す」。
寿司や刺身などは過熱されていないため、当然ながらAGEs摂取のリスクは低くなる。
食品添加物
日本は添加物王国といわれている。実際諸外国では禁止されているものが認可を得ているものが多い。果糖やトランス脂肪酸はその典型。
身近な添加物としては、防カビ効果で食パンなどに使用されている「プロピオン酸」。プロピオン酸を摂取すると、糖代謝が撹乱されてインスリン抵抗性が上昇し食後の血糖値が上がりやすくなる。つまり肥満や糖尿病のリスクが上がるという報告がある。
また、ビーフジャーキーなどの食肉加工品に使われている「硝酸塩」はそう病などの精神疾患に患うっている人は健常者に比べ3.5倍羅患しやすい。
ハム、ソーセージなどの食肉加工に使われてる「リン酸塩」は、経年的に母体や胎児に影響を及ぼす可能性がある。
加工食品の摂取は、可能な限り避けた方が賢明。
有害金属
現代人は知らず知らずのうちに体内に有害金属を取り込み、じわじわと蓄積している。それぞれの侵入経路は次のようなもの。
1 ヒ素:農薬、魚介・海藻類、産業廃棄物、土壌、残留農薬、殺虫剤、排気ガス
2 水銀:魚介類、柔軟剤、防カビ剤
3 カドミウム:たばこ、タイや摩擦粉塵、飲料水、缶詰、農作物、排気ガス
4 鉛:たばこ、排気ガス、缶詰、毛染め剤、印刷物、塗料、殺虫剤、乾電池
5 アルミニウム:加工食品(添加物)、胃薬
6 ニッケル:化粧品
どれも生活の中で接触しやすいため、知らず知らずのうちに体内に有害金属が溜まっていきます。そして、ある時から炎症を起こし、アレルギーや疲労、肌荒れ、関節や筋肉の痛みなど様々な症状を引き起こします。
有害金属に汚染されてるか否かを知る簡単な方法は、「毛髪ミネラル検査」です。この検査では、有害金属にどの程度汚染されているかだけでなく、必要ミネラルの過不足を知ることもできます。
過度な飲酒
酒は百薬の長と言われますが、米国では疫学研究にてアルコールによる発がんが注目されています。飲酒による発がんの原因はアルコールが代謝されて生まれる「アセトアルデヒド」有害物質にある。アセトアルデヒドは遺伝子に直接作用して発がんを促進する働きがあります。また、活性酸素を増やして炎症反応を起こしやすくすること、細胞中のビタミンB6や葉酸を減少させる働きがある。
感想
食に関して清涼飲料水を飲まないなど気をつけていたつもりでしたが、ビーフジャーキーは食べてました。たんぱく質がうつには良いという本を読んだのですが食品添加物という落とし穴がありました。また、サラダ油などの植物油がトランス脂肪酸とは知りませんでした。健康知識は日々アップデートと振返りが必要ですね、何事もですが。
何もしなくても腹が減る。体が資本なので損しない食事を心がけます。